「俺も、全部どうでもよくなるときがあるよ。これまでやってきたことはなんだったんだって虚しくもなる。そういうときは、自分に甘くなればいい」
「甘く……?」
「そう。誰かの役に立てば自分が必要とされているとわかって安心するけど、逆に誰かを必要としたっていいんだよ。今みたいに」
私に共感してさらに諭す、彼の凛とした瞳がこちらに向けられる。
「君が悩みを打ち明けたのは、俺を頼りたかったからだろ? 俺もそれに応えたいと思う。それだけで、お互いの存在は決して無意味なんかじゃなくなる」
芯が通った言葉たちが、じんわりと胸に染み込んでいく。無意味なんかじゃない──自分以外の誰かからもらうそのひとことが、どれだけ心強いか。
視線を逸らせずにいる私に、先生はいたずらっぽい顔をして言う。
「もし君が、六十年後も自分の価値を探してて、誰かに必要とされたくてたまらないんだったら、ヨボヨボの手でメスを入れてあげる」
「……ちょっと怖い、です」
おじいちゃんになった先生が震える手でメスを握る姿を想像したら、つい本音がこぼれた。
彼はクスッと笑い、優しさが溢れる表情で私をまっすぐ見つめる。
「だからそれまで、君は精一杯生きること」
「甘く……?」
「そう。誰かの役に立てば自分が必要とされているとわかって安心するけど、逆に誰かを必要としたっていいんだよ。今みたいに」
私に共感してさらに諭す、彼の凛とした瞳がこちらに向けられる。
「君が悩みを打ち明けたのは、俺を頼りたかったからだろ? 俺もそれに応えたいと思う。それだけで、お互いの存在は決して無意味なんかじゃなくなる」
芯が通った言葉たちが、じんわりと胸に染み込んでいく。無意味なんかじゃない──自分以外の誰かからもらうそのひとことが、どれだけ心強いか。
視線を逸らせずにいる私に、先生はいたずらっぽい顔をして言う。
「もし君が、六十年後も自分の価値を探してて、誰かに必要とされたくてたまらないんだったら、ヨボヨボの手でメスを入れてあげる」
「……ちょっと怖い、です」
おじいちゃんになった先生が震える手でメスを握る姿を想像したら、つい本音がこぼれた。
彼はクスッと笑い、優しさが溢れる表情で私をまっすぐ見つめる。
「だからそれまで、君は精一杯生きること」



