前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~

 彼は足を組んで淡々と言うけれど、こちらはまさか目の前で読まれるとは思っていなかったので動揺しまくる。ここは腹を括るしかない。


〝すごく困らせると思うので、先に謝っておきます。ごめんなさい〟

「え、なに」


 私の書き出しを見て、無の表情を強張らせる先生。それはそうだ、困らせるのをわかっていながらあげる手紙ってなんだよ、と思うだろう。

 かなり自分勝手だが、これを渡すのは自分のためでもある。気持ちを伝えることで、私という存在に意味が生まれるような気がしたから。

 内容は、昔から人見知りと話下手でうまく友達が作れない悩みと、事故よりも嫌な体験をして生きることに対して無気力になっている心境が主だ。そして、肝心なのは一番最後。


〝先生に、私の身体をあげます。手術でも解剖でも、先生の練習用として使ってください〟


 ぶっ飛んだ一文を読んだであろう先生に奇妙な目を向けられ、私は真剣に告げる。


「半分冗談で、半分本気です」
「怖いよ」


 即座にツッコまれ、軽く吹き出してしまった。しかし、私は結構真面目なのだ。