その日の夜、私は明神先生宛てに手紙を書いた。……いや、正確には自分の気持ちをただ文字にして吐き出しただけ。
また会えたら渡してもいいかなと思い、それから屋上庭園に行くときはポケットに忍ばせていた。こういうときに限ってタイミングは合わず、やっと会えたのは私が松葉杖に変わった頃。
肌寒くなってきた夕暮れの空を眺めていた先生を見つけ、私はなぜだか緊張しながら慣れない松葉杖で近づく。
「先生、渡したいものが……あっ!」
よく見ていなかったせいでベンチに杖を引っかけ、よろけた私を先生が咄嗟に支えてくれた。
しかし、向かい合って肩を掴まれた瞬間に、体育館倉庫の埃っぽさと重南先輩の顔が蘇る。
ベンチに座らされ、「ありがとうございます……」とお礼を口にしたものの、震える身体を自分で抱きしめるように腕を掴んだ。
大丈夫、ここにあの人はいない。ゆっくりと息を吐いて自分を落ち着かせ、気を逸らすためにも先生に手紙を差し出す。
「俺に?」と手紙を受け取った彼は、私の隣に座ってなんとすぐに封を開け始める。
「ここで見るんですか!?」
「今日は今しか時間ないからね。気になるし」



