「海、今日はありがとう」


「俺にできることなんてほとんどないんだ。これくらいしか……」


海はそう言い、情けなさそうに俯いてしまった。


あたしのためにもっとなにかしたいのだろう。


その気持ちだけで十分だった。


「十分だよ」


あたしは海の手を握りしめてそう言った。


「あたしの彼氏が海で良かった」


あたしはそう言い、海に手を振って校舎へと向かったのだった。