「ありがとう海。嬉しい」


思わず抱きついてしまいそうになったが、グッと感情を押し込めて我慢した。


「学校まで送るよ」


「え……」


海の言葉にあたしは更に目を見開いていた。


高校を中退している海にとって学校いう場所は一番苦手な場所だった。


自分が続けることができなかった学校生活を、他のみんなは当然のように続けている。


それは海のプライドをズタズタに切り裂くものだった。


それでも、海はそんなこと気にしないと言った様子で、あたしの隣を歩き出した。


あたしが学校に行くことを嫌にならないよう、歩いている間中ずっと楽しい話をしてくれて、あたしを笑わせてくれる。


気が付くとあっという間に学校に到着してしまっていた。


それでも海と離れるのが名残惜しくて校門前で立ちどまってしまった。