「ちょっと話あんだけど」


金髪の明智君がそう言ってあたしの腕を掴んで来た。


その力は容赦なく、ギリギリと肉に食い込んでくる。


あたしは顔をしかめて痛みに耐えた。


「話って……?」


この2人にはついて行かない方がいいと、脳内で警告が鳴り響く。


しかし、これだけ強く掴まれたんじゃ逃げようがない。


あたしは掴まれていないほうの左手でスカートのポケットからスマホを取り出した。


とにかく誰かに連絡しよう。


そう思ったのに……赤毛の三好君が当然のようにあたしのスマホを取り上げたのだ。


その瞬間自分の顔がサッと青ざめるのが自分でも理解できた。


全身から血の気が退いて行って冷たくなるのを感じる。


こんな時に限って渡り廊下を歩く生徒はいなくて、助けを求める相手がいない。


あたしはなにも言えないまま、2人に引きずられるようにして歩き出したのだった。