恐怖で心臓が音を立てる。


「そ、そんなことない!」


確かに海は無職だった。


同じ17歳だが、海は高校1年生の頃自主退学した。


通っていた学校と海とは空気が違い、会わなかったのだ。


それでもあたしはそんなこと気にしていなかった。


海と出会ったのは、海が高校を辞めた後だったのだから。


学校にもいかず停職にもついていないのはどうかと思うが、こうして海の部屋で2人のんびり過ごす時間は好きだった。


だから特に咎めることもなかったのだけれど……その実、海は1人で気にしていたのかもしれない。


「海は海で頑張ってるじゃん」


どうにかこの場の雰囲気を変えたくて、無理矢理笑顔を作った。


本当は恐怖心で体中の筋肉が強張っている。


しかし、海にあたしの気持ちは伝わらない。