咄嗟に手鏡を下ろして振り向く。


同時に海と視線がぶつかった。


人を射抜くような鋭い視線に思わず悲鳴を上げていた。


「ど、動画、終わったの?」


自分でも情けないくらいに声が震えていた。


海は自分の彼氏なのに、いつからこんな風に怯えるようになってしまったんだろう。


「嫌味か?」


「え?」


あたしは海の言葉に首を傾げた。


本当に、なんのことを言っているのか皆目見当がつかなかった。


しかし、海はどうやらあたしに怒っているようで、スマホを置いてジリジリと近づいて来た。


身長180センチの海に見おろされるとそれだけで威圧感で押しつぶされてしまいそうだった。


あたしは必死に笑顔を貼りつかせて海を見上げた。


「ど、どうしたの?」


「嫌味かって聞いてんだよ! 俺が無職だから、わざと自分の夢の話なんかしたんだろ!」


怒鳴られた瞬間自分の体がギュッと凝縮するのを感じた。