海がスイーツを食べに行こうと誘ってくれたお店も、この中に入っている。


香澄がどれだけ嫌がっても、あたしには抵抗できない。


あたしが車から降りると、香澄も素直についてきた。


今の時期午前中で授業が終わる学校が多いようで、店内は若い子たちで賑わっていた。


「あ、この服可愛い! ねぇ香澄、これ買ってよ!」


あたしはワンピースを手にしてそう言うと、香澄は「え」と、戸惑った表情を浮かべた。


「なに? 文句でもあるの?」


「いや……そうじゃないけど……」


そう言いながらも、香澄はまだなにか言いたそうにしている。


あたしはそんな香澄を見てニヤリと笑った。


「もしかして、さっきお金を渡したのにとか思ってる?」


そう聞くと、香澄は逃げるようにあたしから視線を逸らした。


肯定しているも同然の反応だ。


あたしは声を上げて笑い「ここに香澄がいるのに、どうして自分のお金を使わないといけないの?」と、聞いた。


「さっきもらったお金はもうあたしのもの。だけどこの買い物は香澄のおごり。わかる?」