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他人のお金を使って友人たちと豪遊するほど楽しいものはなかった。


いくら買っても、いくら食べても誰にも文句は言われない。


自分のお小遣いだって減らない。


「そういえば、最初はコトハと遊んだんだっけ……」


欲しい物をすべて購入した時、ふとあの日の出来事が蘇って来た。


一番最初に香澄からお金を受け取った時、あの時はコトハと一緒に買い物に行った。


30万なんて大金を手にしたことは初めてだったから、すごく緊張してしまっていたことをおもい出した。


「星羅ちゃん、どうしたの?」


香澄の金で買い物をしてきた友人が笑顔で駆け寄ってきて、あたしの中の記憶はすぐにかき消された。


「なんでもないよ。次どこいく?」


あたしは明るく返事をして、みんなの輪の中に戻っていったのだった。