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「小学校の作文の時でもそうだった」


あたしはベッドに寝転がって天井を見上げて呟いた。


幼い頃の記憶は次から次へと蘇って来る。


幼稚園の誕生日だけじゃない。


それ以降も、両親の物言わぬ威圧感は続いていた。


小学校の頃出された宿題では将来の夢を書かされた。


あたしはその頃にはすでにパティシエを夢見ていたから、それをそのまま書きたかった。


でも、書かせてすらもらえなかったのだ。


『そんな夢叶うワケがない』


作文を書いていて夜、父親から冷たくそう言われた事をあたしは忘れない。


結局、作文にパティエと書く事を許してもらえず、あたしは公務員になりたいと書かされたのだ。


それは両親の夢だったのだろう。


公務員と言っておけば、誰からも笑われない。


ちゃんとした仕事だと、勝手に思い込んでいるのだ。