ただひとつ気がかりなのはコトハのことだった。


あたしと仲のいいコトハがイジメられることはないけれど、今の状況を楽しんでいるようにみえなかったのだ。


それよりも、今日は登校して来てからずっとスマホを見つめている。


なにかを調べているようで、すごく真剣な表情をしているのだ。


こんなコトハを見かねてあたしは自分から席を立った。


あたしが自分から席を立って他の子のところまで移動するなんて、滅多にないことだった。


「コトハ、さっきからずっと何を見てるの?」


「星羅……」


顔を上げたコトハは目の下にクマができていて、目が充血していた。


「ちょっと、どうしたのコトハ。寝てないの?」


驚いてそう聞くと、コトハは軽く頷いた。