人格矯正メロディ

☆☆☆

「あ、ごっめーん! 大きな壁にぶつかっちゃった!」


あたしは大きな声でそう言い、座っている田村を見た。


田村は頭からコーヒーを被り目を丸くしてこちらを見ている。


後ろからわざと田村にぶつかり、マチコが買って来たコーヒーを頭からかぶせてやったのだ。


一瞬クラス内がシンと静まり返るが、次の瞬間あちこちから笑い声が聞こえてきていた。


「やっば! 田村クッサー!!」


「オヤジ臭にコーヒーの臭いが混ざるとか、毒ガスなみじゃん」


女子たちが声を上げて大笑いする。


「なにすんだよ!」


コーヒーをかけられた田村が顔を真っ赤にして立ち上がる。


その瞬間、あたしと田村の間にマチコとナツコが入ってきていた。


「なんなのあんた。文句でもあるの?」


「星羅ちゃんはちゃんと謝ったよね?」


2人に詰め寄られて田村はたじろいている。


「でも、頭からコーヒーかけるなんてひどいだろ!」


「なによ。元々臭いんだからなにも変わらないでしょ?」


ナツコの言葉に再び教室中に笑い声が溢れた。