っていうかなんで触れられてるの…?


さっきは透けてたはずじゃ…。



そんなことを考えていると


「はい、これでもう大丈夫」


川村くんが離れた。



辺りを見るとさっきの魔界のような雰囲気はなくなっていた。


空は黒だし、木はしっかり生えているし、校舎も元通り。


「これ…どうなってんの…」


わけのわからない出来事に困惑していると、川村くんが答えた。


「此岸の世界だよ」


「此岸?」


いつの間にか川村くんもいつもの制服姿に戻っていた。


瞳の色も黒。


「そう、此岸。生きている人が存在する世界のこと」