「いいじゃないの、たまには。芙羽梨さんに一目会いたかったんでしょう。どうせすぐ帰るわ」 「…どうだかね」 「ちょ、ちょっと待ってください…!お父さんって…」 二人の間に割り込んで聞こうとすると、玄関に繋がる扉がガチャリと開いた。 「やあ、みんな揃ってるね。すぐ行かなきゃならないから、丁度良かった」 振り向くと、そこにはとてもダンディーな大人の男性が立っていた。 パリパリのスーツを着て有名ブランドのネクタイをつけている、詩音先輩のお父さんと思われる方が嬉しそうに笑っている。