詩音先輩を見つめると、更にぎゅぅっと抱きしめられる。



「…だめ、それは本当に可愛すぎてむり。返したくなくなっちゃう」



「っ、」



やっぱり、詩音先輩は私を喜ばせる天才だ。



詩音先輩の言葉が魔法みたく私にかかって、不安とか緊張を一気に吹き飛ばしてしまう。



「だからもう、可愛いことするの禁止ね」



うーん…してるつもりはないけど…。



「えっと…気をつけます…」



「その顔、わかってないでしょ?」



「うっ…すみません…」



「ふっ、大丈夫。僕が頑張ればいいだけの話。芙羽梨はいつもの芙羽梨でいいよ」