「そういえばお父さん、仕事の方は大丈夫だったの?」



そこでお母さんが空気を変えるような明るい声で口を開く。



「あぁ、少し手伝ったら何とか持ち直したみたいだな。よかったよ」



お父さんは部長をしているから、会社の人たちにとっても頼りにされているみたい。



よくこうして急に会社に行くこともあるんだよね。



「…詩音くん」



そしてまた、何かを言い出そうとしているお父さんが詩音先輩を真っ直ぐに見つめた。



「…君は、芙羽梨を大切にしていると断言出来るかな?一生かけても守り抜くと、誓えるかい?」