──平安時代、京の都

「梅壺っ!どこだ梅壺っ!」

「帝…っ?」

「良かった。無事であったか」

「いえ…私めはもう…」

女を抱き上げた手には、べっとりと赤黒い血がついていた。

「すまない梅壺。私のせいでこのような事に」

「良いのです。貴方様と…過ごせたこと……本当に幸せでした……」

「もう良い、喋るな」

「どうか……自分の…こと…っ…責めない…で」

「ああ、責めない。だから梅壺まだ行くな」 

「最期…くら…名前で……呼んで…っ…ください。梅壺……などと呼ば…れると……それこそ…っ…悔いに……なる…」