息が切れてきた。 それでも殴る手は止めない。 「…もう、やめて…」 背中が、温かい。 「梓、ちゃん…」 俺の背中に抱きついた梓ちゃんは、肩を震わせていた。 「もう、いいよ。玲緒がその手を汚す必要はないよ。」 自分がいちばん傷ついたのに。 …どうしてこんな時まで、人の心配をするのか。 「結雅のところに、連れてってくれる?」