渇愛の姫



…けど。


「ん〜…桜ちゃん待ってぇ…」


ここに居るのも、甘えるのも今日まで。





「ありがとう。…さよなら」


私がいた部屋を出るとひとつ大きな部屋に出た。

正直この場所の造りがわからない。

なんでみんながこんな所で寝てるのかも。





「…どこに行く。」


ソファに座って目を瞑っていたから、眠っていると思っていたのに。



「結雅…」



ドアノブを掴んだ手に、大きな手が被さる。

その手、声は紛れもない結雅の声。