渇愛の姫



「…ん…」


やばい、少し眠ってた。

携帯に表示された時間は23:58。




あと2分で10月8日。


…結愛と俺の、誕生日。











「──…」



小さいけど、確かに聞こえた。
赤ちゃんの元気な泣き声。



「神崎さん!奥さん、生まれましたよ!赤ちゃんもお母さんもご無事です!」


ちょこちょこ俺を気にかけてくれていた先生が走って分娩室から出てきた。


その言葉を聞いた瞬間に流れたもの…頬に伝う熱いものに気づかずにいた。










結雅side end