渇愛の姫



「結愛!」

「…っゆう、が…」


きっと遺影の近くにあった花瓶を落とした音で駆けつけた結雅は、焦りつつも冷静に救急車を呼び、ずっと私の手を握ってくれていた。



「先生、私…っもう…」



もう無理かも、なんて考えた。

尋常じゃない痛みと、苦しみ。



そんな中でも最後に見た結雅の不安そうな顔が忘れられない。





「神崎さん!しっかり!!」



結雅と結婚して、結雅の姓になって。



病院で呼ばれる度に慣れなくて、でも幸せだったな。