渇愛の姫



少し感じる振動

程よい温度

誰かの話し声


──複数のバイクの音。







まだ目覚めたくない。

こんなに安心するのは一体何年ぶり…?









「…離さないで」



目の前にあるそれを掴むとシワになって、話し声の中確かに1人の笑い声が返ってきた。












「まだ寝てろ。」




低く、耳に残る綺麗な声。


その声を最後に私の意識はまた途切れた。