「どうして…?」
もう一度触れて、あの時のように抱きしめて欲しかった。
夢の中だけでも、夢を叶えて欲しかった。
「“こっち”へ来ちゃダメ。」
苦しそうに、今にも泣きそうな顔でお母さんが首を振る。
「結愛、護れなくてごめんね?」
顔を上げたお母さんは涙を流しているような顔だったのに、その頬は濡れていなかった。
「…お母さん、結愛を護ったつもりが、逆に苦しめちゃったね。」
嗚咽混じりに話すお母さんの顔が見れない。
ただ、首だけを振って否定した。
「お母さんは何も悪くないよ」
たったその一言が声に出せなくて。