渇愛の姫



毎日毎日あの日の事を囁かれ、聞きたくないと耳を塞いでもその手を縛ってまでこの男は聞かせてきた。


そして責められて、壊れた時に───







「…やっぱり君には僕だけなんだよ。」



私は初めてこの男を求めた。

頼れる人がいないこの状況下で、目の前にいる男に縋り付くしかなかった。




「僕はね、本当に君が可哀想だと思うんだ。」


可哀想だと言うのなら、この手を退けて。




「…離して。」

その声は届いているはずなのに、聞こえないふりをしている。