渇愛の姫



「パパ…?」

「来るな!!」


それは我が子へ向ける目ではない。

激しい“憎悪”の目。



「美咲…美咲…」


そして狂ったように妻の名前を呼び出した父親に、幼心に恐怖を覚えた女の子はその場に立ち竦んだ。





「ごめん、なさい…」


それはあまりにも残忍な行為。

女の子が母親を殺した、とでも認めさせるかのような懺悔。





「謝って美咲が返ってくるのか…?」


涙を目に溜め、実の娘にそう言い放った父親は血だらけの妻を抱きしめた。