渇愛の姫




「来るな結愛!!」


女の子は後ろから聞こえる母親の声より、目の前にいる父親の叫ぶ声が怖くてそこに立ち止まった。


「パ…パ…?」


そんな父親は知らない、と言うように女の子は首を振り、涙を流す。



「結愛、危ない…っ!!」















嫌なクラクションの音が鳴り響く。


悲鳴と、救急車の音と、赤く染まったぬいぐるみ。















“Happy birthday結愛”

と書かれたメッセージカードは、血の海に溶け込んでいた。