「ほらおいで?」 そう言って男が私を呼ぶ場所は、膝の上。 …さっきの結雅の温もりがまだ残ってる。なのにアイツに上書きされるなんて嫌で仕方ない。 「ほら早く。…僕に逆らうの?」 けれど少し低い声を出されると、すぐに近づいてしまう。 私ってこんなにも弱かったっけ。 …いや。 「君があんな奴らに固執するからダメなんだよ?」 いつだって、守りたいものがある人は弱いものだと思う。 …きっと、私もそれに含まれる。 己を満たす為だけに彼らを使ったと言っても間違いではないけれど。