渇愛の姫



「さっき、梓の墓参りに行ってた。」

突然出た梓さんの名前に、少し驚いたけどそのまま返事をせずに話を聞いた。



「…梓の最後の言葉は“幸せになってね”だった。」

玲緒に聞いたのと同じだ。

その時私は考えた。
自分が死んでしまう時、愛しい人のこれからを願えることは出来るのかな?と。


私は直ぐに答えられなかった。


そこで梓さんがどれだけ強い人だったか、そしてどれだけ結雅を愛していたか知れた。