爽やか王子の裏側は




「いや、今日初めて話したけど。朝先生とぶつかって制服濡らしちゃったから乾かしてもらってたの」


「朝…ああ。だからいなくなったのか」


長谷川先生思ったよりいい人だった


「ま、いいや。早く弾いてよ」


ピアノの横で私に手招きをする


はぁ

この人が普段は王子様ねぇ…


「はいはい。」



ピアノの前に座る


んー…


「じゃあ…」


スッと手で呼吸をして音を鳴らす


ショパンのノクターン


優しい和音と響き


癒されるにはもってこいの曲


「あ、知ってる」


静かな声でそう言った


頬杖をついて私の手元を見ていた園川くんは目を閉じた


綺麗で優しくて温かい音が体を通っていく感覚


薄暗い音楽室に響く音


……



ーー



気がついたら曲が終わる


いつもそうだ


あっという間なひと時って感じ


「すげぇ、いい音だな」


そりゃ年期のこもったピアノだからね


「このピアノがいいんだよ」


「いや、きっと俺が鳴らしてもこんな音は出ないよ」


へ?


「西村だからこんなに癒される音になるんだ」


……


なに…言って


「ああーっ!スッキリした!毎日聞ければいいのにな」


「…そうだね…毎日弾ければいいのになぁ」