爽やか王子の裏側は




……



はぁ


最後の音が消えるまで余韻に浸る





…あ。


扉の外に何かの気配を感じた



トントン


扉を軽く叩いてみた


「園川くん?」


キィ


声に反応したように扉が開いた


「やっぱりわかった?」


扉の向こうには園川くんがいた


「そんなとこで聴いてるの園川くんくらいだよ」


「いいだろ別に。俺の日々のストレスを癒す大切な時だから」


とほほ


「今日もストレス溜まった?」


「毎日だよ。あいつらは俺がいないと生きていけないのかってくらい群がってくんだから」


「愛されてるね」


「冗談じゃねぇ」


今までは考えられなかった


この人とこんな風に会話をすることになるなんて


ただ見てただけだったから


ずっと住む世界が違うと思って、憧れてた



「今日は何を弾いてくれるの?」


なっ


「別に園川くんのために弾いてるわけじゃないんだけど」


「いいじゃん別に。」


なんじゃそりゃ


音楽室へと入っていきピアノをそっと撫でている


「毎日くるつもりですか?私いない日もあるよ?」


「今日は長谷川先生の車が出ていくのを見たからUターンして戻ってきたんだよ。」


ああ


「出張って言ってたよ」


もう行ったのか、はやいな


「言ってた?あれ、西村って長谷川先生と面識あるの?」