爽やか王子の裏側は




急ぎ足で教室に戻る


あれ、


流しにじょうろがない


どこやったっけ



「西村」





「園川くん?」


園川くんがそおっと教室から出てきた

人気者は辛そうだ


「じょうろ探してんの?」


「う、うん」


「水なら俺がやったよ。シクラメン」





「園川くんが?」


窓際の定位置にじょうろが置いてある


「なんか気がついたら消えてたからお前」


園川くんがあげてくれたんだ


「あ、ありがとう。」


「いいえ〜」


歯を見せてニッと笑った


よく笑うな最近


思わずつられて同じように笑った


「…」


するとなぜか目を大きくして固まってしまった園川くん


…?


なに?


何かあった?この短時間で


「にしむ…」


「園川くーん!」

「しんいちー!!」


おお


教室の中から盛大なお呼び出し



「はぁ…なにー?」


大きなため息をついて王子に切り替えた後、爽やかに戻っていった



…なにを言いかけたんだろう