爽やか王子の裏側は




隣を歩く


変な感じ


学校1の人気者が隣を並んでる


不思議だ。


前までは私の好きな人…


前まで…


前まで?




なんでこんなに緊張してるんだ私


ただのクラスメイトじゃないか



……



「西村」





「その服気に入った?」








視線を落とす


着たこともないおしゃれな可愛い服


「はい。とても」


「そう…………似合ってるよ」








思わず園川くんの顔を見た


どういうわけか園川くんは私と真反対の方向を見ていた



「素敵なお兄さんですね」





「ああー…まあ、確かにね。」





この人の性格の悪さにしては珍しく認めるのが早いな


「いろんな人に好かれてる。いつも明るくて頼りになるし、裏表がない
取り繕って生きてる俺なんかとは全然違う。」



園川くんの目には影があった



…お兄さんのこと尊敬してるんだなって思うのと同時に


「羨ましいんですね。お兄さんが。」


園川くんがパッとこっちを見た


「でも、園川くんもみんなに好かれてる人気者じゃないですか」


「俺のは偽物だよ」


そうかな


「偽物だろうが取り繕ってようが、園川くんがみんなに憧れられる存在であることに変わりはないと思いますよ。」


「え?」


「確かに本当の園川くんは性悪短気のクソ野郎かもしれないけど
結局みんなから見られてる園川くんは優しくてかっこよくてみんなの人気者なんですよ」


「…だからそれは嘘ついてるようなもんじゃん…」


「別にいいんじゃないですか?嘘つきでも。
爽やか王子な園川くんだろうが、毒を吐く俺様園川くんだろうが、結局どっちも園川くんであることに変わりはないし
取り繕って生きて行くことが悪いことだなんて思いませんよ。

それに園川くんに救われたっていう人達は変わらないんですから。」


私とか