爽やか王子の裏側は




どうしよう


とりあえず落ち着け


落ち着くんだ俺


整理しよう状況を


えっとこの子はシクラメンの子


西村華乃さん


おそらく俺は先程思ったことを全て口にしていた


なんてったって今日は一段とうざかったから仕方ない


過ぎたことはもういい


だが問題はこいつだ


「今の見た?」


なるべくいつも通りを装って聞く

決まり悪そうに目を逸らし震える口を開いた


「いえ、何も。なにも聞いていません。豚家畜ってただの豚じゃんなんて思ってません。それでは」


!!


豚家畜…


俺そんなこと言ったっけ


てかまあ聞かれてたんだなこれは


どうする俺


考えろ




そうだ

別に隠すことはない

バレたならバレただ


人気者の俺とあまり主張の少ない西村さんだったらおそらくみんな俺を信じる


その考えが確信になった時、彼女の腕を掴む手に力を入れ、しっかりこっちを向かせる


目を丸くして俺を凝視する


思ったよりも可愛い顔をしている


回った拍子に揺れた前髪から覗く、
透き通った瞳に意識がいきそうになるのを堪え


なるべくいつも通りの笑顔を貼り付ける



「…そ、園川く…」


「存在も認識されてるかわからない陰キャラの西村さんと、君よりはみんなに慕われてて外面のいい俺とだったら、みんなはどっちを信じると思う?」


すごいこと言ったと思ってるけど

もうこの際なんでもいい


「俺のこと…誰かに話したとしても多分信じてもらえないよ?それどころか君の株が下がるんじゃないかな?ねぇ、俺の言ってること間違ってる?

西村さんはどうするべきか分かるよね?」


思いっきし脅迫だ

彼女は目をパチパチとさせて恐る恐る口を開いた


「い、いわなきゃいいんですよね…ほ、他の人とかに」


「そういうこと。話がわかるね」