「ぴ、ピアノ」
「そう、ピアノ。俺がここで寝てたの知ってんのってあのときここにいたからだろ?」
あ、ま、そうですけど
「最近よく弾いてただろ?」
「あ、は、」
最近ってことは…聞かれてたの一昨日だけじゃない…?
もっと前から知ってた?
「…なんだ…お前か」
な、なんだとはなんだよ
しばらく何か考え込んでいるように俯いてた園川くんはパッと顔を上げた
「ね、弾いてよ」
……
はぁ!?
「い、いやですよ!」
「なんで?弾いてたじゃん」
「そ、それは長谷川先生が出張でいないから」
「長谷川?ああ、あの若い先生か。あの先生がいない時しか弾かないの?」
「そ、そんなかんじ…です」
「じゃ、いいじゃん。もう長谷川先生帰ったよ。車なかったし」
なっ!?
車だと!あんたはそんなものまで把握しているのか!
陽キャラ恐るべし(関係ありません)
長谷川先生がいないとしても…まさかこの人の前で演奏なんて絶対やだっ!
「いやです!」
「じゃ、いいつけるよぉ?長谷川先生に西村華乃さんが勝手にピアノ弾いてまーすって」
なっ小学生か!
「いいじゃん。弾けよ、減るもんじゃないし」
うぅぅぅ
この人やだぁ


