爽やか王子の裏側は




「はいはいそこまでー」





私と快斗の間に入ったのはお母さんだった


スーパー帰りなのかビニール袋をもっている


「道のど真ん中で兄弟喧嘩しないでちょうだい」



う…道の真ん中、忘れてた



快斗はさっきまでの取り乱しが嘘みたいにスンとしている


「快斗、ちょっとこれ持ってって」


快斗にビニール袋を差し出したお母さん



「ん」


「華乃はちょっと待ってて」



へ?



快斗にビニール袋を渡して何やら話したお母さんが私に向き直った


快斗はいつもの無表情で家に向かっていく


な、なんだったんだ


今の快斗は幻覚か何か?



「華乃。ちょっと散歩付き合ってくれない?」






「うん」





日が短くなってもうだいぶ暗くなってきた町を並んで歩く


お母さんの隣を歩くのはとても久しぶり



「懐かしいわね〜。快斗とお父さんを家に置いてきてこうやって二人でよく散歩したよね」


「…うん」



記憶があるかないかの頃のこと