「…もしかして…園川って人?」
!
快斗から思わぬ名前が出て驚いた
あ、でも一回会ってるんだ
「…」
「やっぱ?」
な、なんで何も言ってないのに?
私そんなにわかりやすいのかな
「姉ちゃんさ…その人のこと好きなの?」
!
めちゃくちゃ痛いところついてくる
そのくらい、快斗は私のことがわかる
「そんなこと…どうでもいいよ」
正しい答え方がわからなかった
「私は…柑奈と快斗とお母さんが大事だから」
ただ私は自分の選択は間違ってないと思ってる
「間違ってるよ」
え?
まるで思考を読まれたみたいな答えが返ってきた
「姉ちゃんは間違ってる。そうやっていつも自分のことを後回しにして、俺らを優先するんだ。俺そういうとこ嫌い」
き、嫌っきらいって言われた
「昨日もそうだったでしょ。母さんに無理して笑って転校決めたとか言って」
!
あの時部屋の外にいたのは快斗だったのか
「姉ちゃんが俺らを大事に思ってくれてるのとおんなじで、母さんも俺も柑奈も姉ちゃんが大事なんだよ。
いつも人のことばっか優先して自分の願望のままに突っ走ったこと一回もないくせに」
か、快斗?
「どうせ俺らに無理させたくないとか言って高校生だからとか思って無理してんだろ」
なっ!?
「そんな風にボロボロに泣いてるくせに一丁前なこと言ってんじゃねぇよ!」
快斗?どうしたの、なんかいつもより感情的だし、早口だし
「なんで自分の気持ち優先しないわけ?一生そうやって生きてくつもり?なんで自分の心にまで嘘つくんだよ!
いつも作った笑い方してさ、本当は弱いくせに強がって、取り繕ってんのわかってんだよ
見てるこっちが息苦しいんだよ」
…
わ、私のことだよね
なんで、まるで私が園川くんに言ったみたいなことを
今度は私が言われてるんだろう
取り繕いの笑顔しかできない
この悩みを抱えていたのは園川くんだったはずなのに…
どうして


