「姉ちゃん?」
!
背後からかけられた声にビクッと肩を震わせる
まずい
急いで目元を拭う
「か、いと…おかえりっ…」
なるべくいつもと同じような声で言ったつもりだった
「姉ちゃん?なんで泣いてんの?」
!
「…な、何言ってんの?泣いてなんかないよー!やめてよー」
「…嘘つかなくていいから」
ひたすら快斗に背中を向けていた私に近づいてくる足音
肩を掴まれて向きが変わる
「泣いてる」
「泣いてない」
快斗の少し焦ったような少ない表情の顔
私がどんな顔をしているかはわからない
「…なんで泣いてるの?」
「泣いてないってば」
「姉ちゃん!!」
ビクッ!
今までに聞いたことないような快斗の迫力のある声に驚いた
「頼むからちゃんと答えて」
私の両肩を掴み若干私より背の高い快斗が少し屈んで目線を合わせる
…
いつのまにか、こんなに大きくなっていた
ずっと、お母さんの代わりに二人で一緒にやってきて
一つ差と言えど、弟の快斗はたまに甘えたがりで
本当にたまにだけ、私に甘えてくることがあった
でももう私より背が高い
それに…とてもしっかりしてる
たまには…私が…頼ってもいいのかななんて
思えちゃうくらい


