「っ!西村!」
へ、なんっ
園川くんが初めてみる表情をしていた
なんでそんなに苦しそうな顔をしてるんだろう
でもその理由はなんとなくわかった
…慣れない何かが頬を伝うのがわかった
「なんで…泣いて」
なんで…泣いて…
「っ」
園川くんが少し私に近づいた
…ダメだこれ
ここにいたら
園川くんの前にいたら、泣いちゃう
「ごめっ…」
「西村!!」
ジリっと後ろに下がり、ただ距離を取ろうと振り返って走る
だけど
…
「西村っ!」
本気を出せば簡単に、
私に追いつける人だ
「西村っ!」
体がぐんと後ろに引っ張られる
慣れない暖かさ
体の自由がない
ふわっと香る園川くんの香り
抱きしめられていると実感するには少し時間がかかった
「逃げるな西村」
「…離して」
「ごめん無理」
離して
という割には自分でも呆れるほどの抵抗のなさ
しっかりしてよ西村華乃
「その、かわくん」
「…ちょっとだけこのままでいろ」
…
背中から伝わる園川くんの熱と鼓動
なんでそんなに熱いのか
なんでそんなに鼓動がうるさいのか
その謎と並んで『そんなんじゃないよ』
ぎゅっと目を瞑った


