爽やか王子の裏側は




園川くんには…言わないでおこう


というか言えないね


昨日あんな距離の取り方したのに


教室で相変わらず素敵笑顔を振りまく園川くんをチラリとみた









長谷川くんには言おう



私のことを…す、好きでいてくれるらしいけど


このことを知ったらなんていうんだろう



「西村華乃」





「あ、長谷川先生」


びっくりした、パッと聞いただけだとどっちかわかんないなこの兄弟


「お前転校すんの?」


水道でじょうろをゆすいでいた背後からかけられた声


あー朝職員室行ったからかな


先生の耳には入るが早い


「はい…親の仕事の関係で」


「またこんな微妙な時期に?大変だな」


本当ですよ


「大翔には言った?」


「まだです」


「そうか…真一くんにはいうの?」





ピンポイントで聞いてくるのね



「言いません」


「なんで」


「…」


これと言った理由がないので黙りこくってしまう


「ま、黙っていなくなるよりは少しくらい声かけたほうがいいんじゃないか?」





「そう、ですね」


まあ…そうか


普通に考えたら礼儀として言うべきか…



でも言う言わないじゃなくて言えないんだよ先生


「なんにせよ、後悔しない選択をしろよ」



頭の上にポンと乗る先生の大きな手




…後悔しない…か