爽やか王子の裏側は




「お疲れ様!2人ともすごかったよ!」


「さんきゅ西村華乃」


「長谷川くんもやっぱり速いね」


「そりゃね。元陸部ですから」


フフッと笑う西村


自覚するとこういう仕草や表情でさえ刺さるな


「園川くんも!お疲れ様でした」


「おう」


にこりと笑う


まったく…

さっきまで俺らがお前のことでわちゃわちゃやってたことも知らないでさ



ーー

「園川くん」


改まってそう声をかけられたのはすべての競技が終わり閉会式が始まる前だった


「なに?」


女の子2人、片方の背中をもう片方の女が叩いている




誰だっけ


クラス違うよな


「ほら、頑張って」

「…う、うん」





「あの…は、ハチマキ交換してくれませんか?」





あー


女の子はギュッと目を瞑って自分のハチマキを俺に差し出している


「…ごめんね。知ってるかもしれないけど、交換する相手はいるんだ」


「…う、噂でそれは知ってます」


知ってんのかよ


んじゃくるなよ


「あの、せめてその相手が誰かだけでも…教えてくれませんか」


…相手…それは









「俺の、好きな子」




「…え」


女の子2人は目を丸くした


「ちょっとごめんね」


その場を離れて黒髪のポニーテールを探した


閉会式前、いろんなところでハチマキの交換が始まっている


男子と女子は長さが違う


男子のが少し長めで背中の真ん中らへんまであるのに対し、


女子のは短めで首にかかるくらいまでしかない


何故そんな差をつけるのかわからないけど


見回すと女子なのに長いのをつけていたり、男子なのに短かったりと


浮かれぽんちな奴らがニヤニヤしてる




まぁ俺も探してるんだけど