爽やか王子の裏側は




競技が終わりテントに戻る最中もたくさんの人に声をかけられた


「すごかったよ!図書委員ちゃん」

「今度教えてよ」

「バスケ部入らない?」


普段の私からは想像のつかないシチュエーション

園川くんの見てる世界だ


「西村!」

「宇野くん」

「マジでカッコ良かったよ!惚れ直した!」


ほれ、な、なおす?

惚れてたの?初耳なんだけど


「なんだよ宇野ー公開告白か?」

「うるせぇバーカ」


今の私は注目されているもんだから変に人が集まっている


「そういえばさ、ハチマキ交換の話、ついてなかったよね」

ぎく

「おおおー!狙ってんなあ宇野」

「交換しようよ」


えと…それはぁ


『只今のー障害物競走でー赤団とー青団のー順位が入れ替わりましたー』


唐突に入ったアナウンスに気が取られる

抜かしたんだ!


点数を見ようと、本部テントの方に首を向けた瞬間


ぐいぃ!


わ!!


物凄い力によって宇野くんの人だかりから抜けた