まさか片想い相手がお見舞いに来てくれるなんて思わないもの
あー…
「心臓に悪いや」
「何が悪いんだよ」
ふぁ!?
え、う、は?
「園川くん!?」
「うるせぇ声絞れ」
う、はい
「な、なんでここに」
「大翔と別れてから戻ってきた」
いや、なんで
「あいつと話したんだろ?だったら俺とも話せよ」
なんでだよ
「風邪ってなんで、雨にでも打たれた?」
「ブッ」
いかん、思わず吹き出してしまった
「おい何笑ってんだよ」
「いや、ふふ。全く同じことを長谷川くんにも言われたので」
「なんだそれ」
やっぱ仲良いなこの2人
男の子の友情ってちょっと変わってるよね
「まだ熱あんのか?」
「36°9です。多分早退かな」
「ふーん」
関心ないなおい
「放課後ピアノ弾けないのが残念」
「本当好きだな」
これも一緒だ
「フフッ大好き」
シンクロしすぎてここまでくると面白い
なぜ同じ回答を二回もしなければならないのか
「…西村」
クスクスと笑っていたら名前を呼ばれて園川くんを見る
あれ
なんか…
近くないか?
「その…かわくん?」
ひた
!
園川くんの大きめの暖かい手がおでこに触れた
やばい…
心臓が、ヘドバンしてる
「…ちょっとだけ熱いな」
「……かも、しれない」
もう、熱は分かったと言うのに…
園川くんの手はおでこから離れなかった
…
今…何か言ったりしたら
この手は離れちゃうかもしれない
しんとした時間がすぎる
この沈黙は、私も園川くんも…破ろうとはしなかった


