爽やか王子の裏側は




「36°9」


体温計に示された数字を読み上げる


「あーだいぶ下がってきてるんじゃない?」


「うん。でも私平熱低いからまだちょっとある方かな」


「身体は?」


「身体はだいぶ楽だよ」


「そう…西村華乃」


ん?


「シャツ…ボタン留めてくれない?」


ボタン?

ああ…さっき外したからか


何をそんなに改まって言われなくても留めるのに


よくわからないな、今日の長谷川くんは


あ、今日の長谷川くんも


「多分帰らされるねそれ」


えー早退か


「じゃあピアノ弾けないなぁ」


「…本当好きだね」


そりゃもちろん


「大好き」


思わず顔が緩んだ


「ん"っ…」


わ!なに?


「どうしたの?」


突然変な声を上げた長谷川くん


「いや…なんでもない…」




あ、それより


「長谷川くん、その、心配してくれてありがとうございます」


あんまり慣れてない


…家族以外の誰かに心配を向けられる事


「…いいえ。きっと真一も心配してるよ」


園川くん?


倒れる寸前の園川くんらしき声がリピートされる


もし…


そうだったら嬉しいな