思えば自分から誰かを好きになったのは初めてかもしれない


小学校も中学校も家のことが忙しくて友達との関わりっていうのがほとんどなかった


学校は勉強するだけの場所


人との関わりがほとんどなかった


望んでなかったし…


いや、それは嘘かな


ちょっと羨ましかったりしたかも


だから、高校は柄にもなく『青春』とか、そんなのやってみたいなって


なのに駆け出しから失敗して


そんな時現れたのが園川くんって言う未知の生命体


私の知らない未知の人間


完璧で、爽やかで、いつも笑ってる人


でも…本当は優しくて、ちょっと、いや、だいぶ不器用で


それで…



…ら、

…らっ!…むら、にしむら


「西村!!」


うわぁ!!


突然のビックボイスに机もでかい音を立てるくらい震えた


「おい大丈夫か?珍しく上の空だぞ」


先生


私の顔を覗き込む先生と、ぽかんとしているクラスメイト


「大丈夫です、すみません」


「お、おお…顔赤いぞ?汗もかいてるけど…本当に大丈夫か?」


なんと

汗までかいているとは


「あー…顔洗ってきてもいいですか」


「おお行ってこい」


なんで汗なんか


いやだな…注目されてる


とりあえず顔洗おう


そう思って席を立った