ガラ!
!!
やば!人が来…
「西村?」
!
この声
「園川くん?」
「あ!西村!やっと見つけた!」
見つけた?探してくれてたのかな
ぎゅう
!
私の腰に回る手に少し力が入った
長谷川くん
「ったく、急にいなくなんなよ。探してくるって誰…を…」
園川くんが固まった
カウンターにいる私を見つけて近づいてきたからおそらく…
しがみついている長谷川くんを認識したからだ
「え、…は?」
「長谷川くん…」
「…真一?」
「え…大翔」
長谷川くんは私にしがみついている手を解かずに顔だけを園川くんに向けた
その目を今度は私に向ける
こくんとうなずいてみせた
大丈夫
長谷川くんは再び顔を園川くんに向けた
「…中2の時、俺がハードルで転けたとき…手をつかなかったのは…指を、守るため」
ゆっくりと口が動いた
「…」
「なんで指なのかっていうと…俺、ピアノ弾いてるんだ」
「…ピアノ?」
「小さい時からピアノを弾いてて、それが好きで、あの日はコンテストの2週間前だったから…指を守らなきゃって咄嗟に…」
「…」
園川くんは目をパチクリさせている
「でも俺にとって陸上も同じくらい大切だった…だから死ぬほど後悔した…集中できてなかったことも、大会に出られなかったことも、それから…
真一が部活をやめたこと」
「俺?」
「…俺のせいかもって…しっかり話さなかったから…ちゃんと言わなかったから…だから…その…」
…長谷川くん
手に力が入ってる
私はそっと自分の体に回っている長谷川くんの腕に触れた
がんばれ
「…ごめん。」
「え」
「ちゃんと言わなくてごめん。自分勝手に判断して空回りしてた…それから…大会、俺の代わりに頑張ってくれてありがとう」


