「長谷川くんは悔しかったの?」
「…は?」
「園川くんが陸上をやめた理由が自分のせいかもしれないって思ったんでしょ?」
「…んなこと言ってないけど」
「園川くんから話聞きました。あの時、ハードル走で倒れそうになった時、手をつかなかった理由、私はわかりました。
でも園川くんはその理由を知らない。だから長谷川くんが陸上をやめてしまったことに酷く衝撃を受けた」
「…」
「園川くんが陸上をやめた理由はきっと自分が大きく関係してるって分かってるから長谷川くんは後悔してるんじゃないの?」
長谷川くんはピクリと眉を動かした
「…だから…そんな訳ないって…
そいつの名前は出すなって昨日言ったろ!
構うなよ!もう終わったんだから後悔もクソもない!」
…私を鋭く睨みつけて怒鳴り散らした
静かな誰もいない図書館に声が反響する
…
「そうは見えないよ。園川くんの名前を聞いただけで昨日だってすごく変わっちゃったし、今だってそう。園川くんとは関係ないなんて言い張ってる割にはそれこそ意識してるよ」
「っ…」
「言葉足らずすぎるんだよ2人とも。なんで手をつかなかった事言わなかったの?もしちゃんと話してたら今とは違ったかもしれないのに」
「…それは……」
「もういっかい言うけど、長谷川くんは悔しかったんでしょ?」
長谷川くんは食いしばっていた歯の力を抜いた
「園川くんが自分のせいで陸上をやめちゃった事が」
「…」
長谷川くんにとって一番触れて欲しくない話だと思う
しかもその中でもあの長谷川くんがこんなにも取り乱すほど敏感なところ
でもちゃんと話さないと
一生引っかかり続けるなんて嫌だ
もし、私の言葉で、それが少しでも動くんだったら…
「ちゃんと言うべきだよ。本当のことを」


