あーだこーだと、話している2人を放っておいて
あたしは、部屋の片づけを終わらせてしまった

「芽実、行こ」

「いいの?」

何が?

「篠田先輩に何も言わなくて」

「いいの。
だって、だってもう、”他人”だって決めたのはあたしだし
もう、あたしが何を言っても、信じてはくれないでしょ?」

「愛実・・・」

「いくら、あたしが好きでも、翔哉さんは
あたしのことなんて・・・」

”好きじゃない”そう言おうとしたのに
言えなかったのは、正面から翔哉さんに抱きしめられてしまったから

「や、は、離してっ」

ドンドンと翔哉さんの胸を叩いても、
離すどころか、さらに強く抱きしめられてしまった

「何を言おうとした」

「え?」

「”あたしのことなんて”の後、何を言おうとした」

「翔哉さんは、あたしのことなんて
”好き”じゃないでしょう?」

「何?」