トワイライト(上)


「家に帰ったら、話たいことあるんだけど、いい?」


車に乗り込むと彼は自分に雑誌を渡し、直ぐにエンジンを掛けて走らせた。

幾つか付箋紙の付いた雑誌を抱え、一番聞きたいことを隠して問う。


「此処じゃ、言えないこと?」

「少し、仕事のことで話したいことあって……」


その言葉が距離を計ろうとする名目上に被せた物に聞こえた。

多分、女性客の多い店で人気の有る彼には重荷だったのかもしれない。

それは考えなくても判ることだった。


マンションに着いて互いに部屋に入り、色々済ませた後でリビングに集まる。

浴室から抜け出した彼がキッチンで牛乳を温め、カップを二つ手にして自分に渡しながら布団に腰を下ろす。

少しだけ口に含んだのを合図に会話が始まっていく。


「話って、なに?」

「ん?……あぁ、そうだった……
 来週くらいに仕事が変わるから、言って置こうと思って」

「それ、だけ?」


彼は明らかに言い難そうにミルクを口にし、カップの中と当ても無い視線を行き来させている。

何度か繰り返して飲み込み、深呼吸を一つして言った。


「時間帯も不規則になって、迷惑掛けるし……
 茅紗も不安だろうし、何もしてあげられなくて、心細いと思うけど……ごめん」