トワイライト(上)


「また5分遅刻よ、何してたのかしら?」


そう言いながら凜太郎は店先を眺めて軽く頭を下げ、その様子に振り向くと彼が通り過ぎていた。

挨拶を交わした後で『ついでだから』などと告げられた言葉に甘え、初めて一緒に出勤して来た事を目撃した人物が不敵な笑みを浮かべる。


「たまたま、送ってもらっただけ」


また言い訳をして誤魔化そうとする自分の顔を眺め、凜太郎は柔らかい眼差しで見つめながら言う。


「そろそろ話してくれても良いじゃない、あんた誰に遠慮してるのよ」


その言葉に小さく頷いて見せ、更衣室で着替えをしながら自然に口が開く。


「多分……自分でも好きだって、気づいてる……」


「それで?」


「でも……良く分かんない……
 一緒に居て、急に何かが起きて……勘違いかもって……思ったりして」


凜太郎は言葉足らずの自分を鼻で遇って言う。


「あんた知ってる?恋はフィーリングとタイミングとハプニングよ」


同じように鼻で遇うと凜太郎は続けるように言った。


「付き物なのよ、もう、あんたにも分かるでしょ」